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不動産にかかる税金ガイド

贈与税と不動産の生前贈与

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
贈与税と不動産の生前贈与

外国人が日本の不動産を生前贈与する際の贈与税の仕組み、税率、メリット・デメリット、手続きの流れ、節税対策を徹底解説。暦年課税・相続時精算課税制度の比較や外国人特有の注意点も網羅した完全ガイドです。専門家への相談方法も紹介。

贈与税と不動産の生前贈与:外国人が知るべき完全ガイド

日本で不動産を所有する外国人にとって、将来の相続や資産承継をどのように計画するかは非常に重要なテーマです。特に「生前贈与」は、存命中に家族に不動産を譲渡する方法として注目されていますが、贈与税の負担や手続きの複雑さから、慎重な検討が必要です。

本記事では、外国人が日本の不動産を生前贈与する際に知っておくべき贈与税の仕組み、メリット・デメリット、具体的な手続き、そして節税対策について詳しく解説します。

贈与税の基本的な仕組み

贈与税とは、個人から財産を無償で受け取った場合に、受け取った側(受贈者)に課される税金です。日本の贈与税には大きく分けて「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つの課税方式があります。

暦年課税制度

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暦年課税制度は、1年間(1月1日~12月31日)に受けた贈与の合計額に対して課税される一般的な方式です。年間110万円の基礎控除があり、110万円以下の贈与であれば贈与税は発生しません

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫に対する贈与について、累計2,500万円まで贈与税を非課税とする制度です。ただし、贈与者が亡くなった際には、贈与された財産が相続税の計算に加算されます

不動産の生前贈与にかかる税金の全体像

不動産を生前贈与する場合、贈与税だけでなく複数の税金が発生します。以下の表で全体像を把握しましょう。

税金の種類課税対象者税率・金額備考
贈与税受贈者10%〜55%(累進課税)基礎控除110万円あり
不動産取得税受贈者土地3%・建物4%固定資産税評価額に対して
登録免許税受贈者2%不動産評価額に対して
印紙税贈与者・受贈者200円〜贈与契約書に貼付
固定資産税受贈者(翌年から)1.4%(標準税率)毎年の維持費用

不動産にかかる税金について詳しく知りたい方は、関連記事もご覧ください。

ここで注目すべきポイントは、生前贈与は相続に比べて税負担が大きくなりやすいという点です。相続の場合、不動産取得税は非課税で、登録免許税も0.4%と生前贈与の5分の1です。

贈与税の税率と計算方法

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贈与税の税率は、贈与額から基礎控除(110万円)を差し引いた「課税価格」に応じて段階的に高くなります。

課税価格一般税率特例税率(直系尊属から)控除額(一般)控除額(特例)
200万円以下10%10%なしなし
300万円以下15%15%10万円10万円
400万円以下20%15%25万円10万円
600万円以下30%20%65万円30万円
1,000万円以下40%30%125万円90万円
1,500万円以下45%40%175万円190万円
3,000万円以下50%45%250万円265万円
3,000万円超55%50%400万円415万円

例えば、固定資産税評価額2,000万円の不動産を生前贈与する場合(暦年課税・一般税率):

  • 課税価格:2,000万円 − 110万円 = 1,890万円
  • 贈与税額:1,890万円 × 50% − 250万円 = 695万円

このように、不動産の生前贈与には高額な贈与税が発生するため、税制優遇措置の活用が欠かせません。

外国人に対する贈与税の課税ルール

外国人の場合、贈与税の課税範囲は「居住形態」と「在留資格」によって大きく異なります。在留資格と不動産購入の関係は複雑ですので、しっかり理解しておきましょう。

居住形態別の課税範囲

居住形態在留資格国内財産国外財産
国内居住(10年超)すべて課税課税
国内居住(10年以下)就労ビザ等(表一)課税非課税
国内居住(10年以下)永住者・日本人配偶者等課税課税
非居住者課税(国内財産のみ)非課税

重要なポイントとして、日本国内にある不動産の贈与は、贈与者・受贈者の国籍や居住地に関係なく、常に日本の贈与税の課税対象となります

つまり、海外に住んでいる外国人の親から日本に住む子どもに日本の不動産を贈与する場合でも、日本の贈与税が課されます。非居住者の税務については関連記事も参考にしてください。

生前贈与のメリットとデメリット

不動産の生前贈与には明確なメリットとデメリットがあります。

メリット

1. 確実な資産承継 遺言書と異なり、生前贈与は贈与者の意思で確実に特定の相手に不動産を譲渡できます。相続時の遺産分割トラブルを防止できるのが大きな利点です。

2. 将来の値上がり対策 不動産の価値が将来上昇すると見込まれる場合、早めに贈与しておくことで相続税の評価額を抑えられます。特に東京都心部や再開発エリアの物件に有効な戦略です。

3. 収益物件からの所得移転 賃貸経営している物件を子に贈与することで、家賃収入が子の所得となり、贈与者の相続財産の増加を防げます。

4. 贈与のタイミングを選べる 受贈者が住宅を必要とするタイミングや、税制上有利な時期を選んで贈与できます。

デメリット

1. 税率が高い 贈与税の税率は相続税より高く設定されており、同じ金額の不動産でも贈与税の方が多く課されます。

2. 諸費用が高額 不動産取得税(土地3%・建物4%)や登録免許税(2%)など、相続時には発生しないか低率で済む税金が生前贈与では高額になります。

3. 小規模宅地等の特例が使えない 相続時に適用できる「小規模宅地等の特例」(最大80%減額)は、生前贈与では利用できません。

4. 生前贈与加算のリスク 2024年1月から相続開始前7年以内の贈与が相続財産に加算されるよう改正されました。贈与後すぐに相続が発生すると、節税効果がなくなる可能性があります。

5. 取り消しが困難 不動産の生前贈与は贈与契約書を締結し登記を完了するため、原則として取り消すことができません。

生前贈与がおすすめなケース

すべてのケースで生前贈与が有利とは限りません。以下のような状況では、生前贈与を積極的に検討する価値があります。

将来値上がりが見込まれる不動産を所有している場合 東京の不動産市場のように値上がり傾向が続くエリアでは、現在の評価額で贈与することで将来の相続税負担を軽減できます。

賃貸収入がある不動産を所有している場合 家賃収入が毎年贈与者の資産を増やし続けるため、早めに贈与して所得を分散することが不動産投資の税対策として有効です。

相続争いの予防が必要な場合 複数の相続人がいて遺産分割でトラブルが予想される場合、生前に贈与しておくことでリスクを回避できます。

相続時精算課税制度を活用できる場合 60歳以上の親から18歳以上の子への贈与で、2,500万円の非課税枠を活用できるケースでは有力な選択肢となります。

不動産の生前贈与の具体的な手続き

不動産の生前贈与を行う際の手続きの流れは以下のとおりです。

ステップ1:贈与契約書の作成

贈与契約書には以下の内容を記載します:

  • 贈与者・受贈者の氏名・住所
  • 贈与する不動産の詳細(所在地・地番・面積等)
  • 贈与の日付
  • 双方の署名・押印

ステップ2:必要書類の準備

不動産契約と必要書類は事前に確認しておきましょう。

  • 登記申請書
  • 贈与契約書(原本)
  • 登記済証または登記識別情報
  • 贈与者の印鑑登録証明書
  • 受贈者の住民票
  • 固定資産税評価証明書

外国人の場合、公証人の利用や追加の身分証明書類が必要になることがあります。

ステップ3:所有権移転登記

法務局に登記申請を行い、不動産の名義を受贈者に変更します。通常は司法書士に依頼するのが一般的です。

ステップ4:贈与税の申告・納付

贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日までに確定申告を行い、贈与税を納付します。

節税対策と税制優遇制度の活用

生前贈与の税負担を軽減するために、以下の制度や方法を活用しましょう。

相続時精算課税制度の活用

2,500万円までの贈与が非課税になる相続時精算課税制度は、高額な不動産の贈与に特に有効です。ただし、一度この制度を選択すると暦年課税に戻すことはできません。

住宅取得資金の贈与税非課税制度

直系尊属から住宅取得資金の贈与を受ける場合、省エネ等住宅では最大1,000万円、一般住宅では500万円が非課税となります。新築物件の購入資金として活用できます。

夫婦間の居住用不動産の贈与特例(おしどり贈与)

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、2,000万円の配偶者控除が受けられます。基礎控除110万円と合わせて2,110万円まで非課税です。

暦年課税の110万円控除の長期活用

現金を毎年110万円ずつ贈与し、受贈者がその資金で住宅ローンの頭金の準備や不動産購入費用に充てる方法もあります。ただし、不動産そのものの分割贈与は現実的ではないため、現金贈与との組み合わせが有効です。

外国人が特に注意すべきポイント

外国人が日本で不動産を購入する際と同様に、生前贈与でも特有の注意点があります。

納税管理人の選任

受贈者が海外に居住している場合、日本国内に納税管理人を選任する必要があります。親族や知人でも就任可能ですが、税理士に依頼するのが安心です。

二重課税の問題

母国でも贈与税が課される場合、二重課税防止条約の適用を確認しましょう。外国税額控除が利用できるケースもあります。

在留資格の変更に伴う課税範囲の変動

在留資格が変わると課税範囲も変動する可能性があります。例えば、就労ビザから永住権への変更時には、国外財産も課税対象に含まれるようになります。

母国語での書類作成

贈与契約書は日本語で作成するのが原則ですが、当事者の理解のために外国語の翻訳文を添付することが望ましいです。

まとめ:生前贈与は早めの計画が重要

不動産の生前贈与は、適切に計画すれば有効な資産承継・節税対策となりますが、安易に実行すると相続時よりも税負担が増えるリスクがあります。

特に外国人の場合は、日本の税制に加えて母国の税制も考慮する必要があり、専門家への相談が不可欠です。不動産会社・仲介業者や税理士など、外国人対応の実績がある専門家を選びましょう。

生前贈与を検討する際のチェックリスト:

  • 贈与する不動産の固定資産税評価額を確認する
  • 暦年課税と相続時精算課税のどちらが有利か試算する
  • 不動産取得税・登録免許税などの諸費用を計算する
  • 母国の贈与税制度を確認し二重課税を防ぐ
  • 贈与後7年以内に相続が発生するリスクを考慮する
  • 司法書士・税理士など専門家に相談する

資金計画と頭金の準備も含め、総合的な視点で不動産の資産承継を計画することが、外国人にとって最善の選択につながります。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本不動産購入情報を発信。

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