不動産会社との契約種類:専任・一般・専属

日本の不動産売買における3種類の媒介契約(一般媒介・専任媒介・専属専任媒介)の違い、メリット・デメリット、外国人が契約を選ぶ際のポイントを詳しく解説。仲介手数料やレインズ登録、囲い込み対策まで網羅した完全ガイドです。
不動産会社との契約種類:専任・一般・専属専任媒介契約の違いと選び方
日本で不動産を売買する際、不動産会社に仲介を依頼するには「媒介契約」を結ぶ必要があります。この媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットが大きく異なります。特に外国人の方にとっては、日本独特の不動産取引の仕組みを理解することが重要です。海外では不動産エージェントとの「代理契約」が一般的ですが、日本では「媒介(仲介)」が主流であり、その違いを正しく把握しておく必要があります。
この記事では、3種類の媒介契約の違い、それぞれのメリット・デメリット、そして外国人が契約を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。
媒介契約とは?基本的な仕組みを理解しよう
媒介契約とは、不動産の売買や賃貸を希望する人が不動産会社(宅地建物取引業者)に仲介を依頼する際に結ぶ契約です。この契約により、不動産会社は買主や売主を探す活動を行い、取引が成立した場合に仲介手数料を受け取ります。
日本の宅地建物取引業法では、媒介契約を結ぶ際に書面(媒介契約書)を交付することが義務付けられています。契約書には物件情報、契約期間、報酬額、業務内容などが明記されます。
外国人の方が注意すべき点として、契約書の正本は日本語で作成されます。英語や母国語の翻訳版が用意されることもありますが、法的効力を持つのは日本語版です。そのため、信頼できる通訳やバイリンガル対応の不動産会社を選ぶことが重要です。
また、仲介手数料の上限は法律で定められており、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限となります。この手数料は取引が成立して初めて発生する成功報酬型です。
3種類の媒介契約を徹底比較
媒介契約の種類によって、不動産会社の義務や売主の自由度が大きく異なります。以下の表で主な違いを確認しましょう。
| 項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 複数社への依頼 | ○(可能) | ×(1社のみ) | ×(1社のみ) |
| 自己発見取引 | ○(可能) | ○(可能) | ×(不可) |
| レインズ登録義務 | なし | 7日以内 | 5日以内 |
| 活動報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 契約期間 | 制限なし(通常3ヶ月) | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 |
| 不動産会社の販売意欲 | 低め | 高い | 最も高い |
レインズ(REINS) とは、不動産流通標準情報システムのことで、全国の不動産会社が物件情報を共有するネットワークです。レインズに登録されると、多くの不動産会社を通じて買主を見つける機会が広がります。
自己発見取引とは、売主が自分で見つけた買主と、不動産会社を介さずに直接取引することを指します。知人や親族への売却を検討している場合に重要なポイントとなります。
一般媒介契約のメリット・デメリット
一般媒介契約のメリット
一般媒介契約の最大のメリットは、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できることです。これにより、各社の強みを活かした幅広い販売活動が期待できます。
- 複数社の販売ネットワークを活用できる
- 不動産会社間の競争原理が働く
- 自己発見取引も自由にできる
- 契約の縛りが少なく柔軟性が高い
特に東京や大阪などの大都市にある人気物件や、需要の高いエリアの物件であれば、一般媒介契約でも積極的に販売活動を行ってもらえる可能性が高くなります。東京の不動産や大阪・関西エリアの人気エリアでは、一般媒介でも十分な効果が期待できるでしょう。
一般媒介契約のデメリット
一方で、一般媒介契約には以下のようなデメリットもあります。
- レインズへの登録義務がないため、物件の露出が限定される可能性がある
- 活動報告義務がないため、販売状況の把握が難しい
- 不動産会社の販売意欲が低くなりがち(他社で決まる可能性があるため)
- 広告費をかけてもらえない場合がある
不動産会社の立場からすると、一般媒介契約の物件は他社で成約する可能性があるため、積極的に広告費や人員を投入しにくいという現実があります。
専任媒介契約のメリット・デメリット
専任媒介契約のメリット
専任媒介契約は、1社の不動産会社に独占的に仲介を依頼する契約です。不動産会社は確実に手数料を得られる可能性が高まるため、積極的な販売活動が期待できます。
- 7日以内にレインズへの登録が義務付けられ、広範囲の不動産会社に物件情報が共有される
- 2週間に1回以上の活動報告を受けられる
- 不動産会社が広告費や販売活動に力を入れてくれる
- 自己発見取引が認められている
- 売買の窓口が1社に集約されるため、やり取りが効率的
外国人の方にとっては、窓口が1社に集約される点が特に大きなメリットです。言語の問題がある場合でも、1社とのコミュニケーションに集中できるため、スムーズなやり取りが可能です。
専任媒介契約のデメリット
- 1社にしか依頼できないため、その会社の営業力に依存する
- 担当者との相性が合わない場合のリスクがある
- 「囲い込み」のリスクがある(物件情報を他社に公開せず、自社で両手取引を狙う行為)
「囲い込み」は日本の不動産業界で問題視されている慣行で、不動産会社が売主・買主の双方から仲介手数料を得るために、他社からの問い合わせを断る行為です。専任媒介の場合、このリスクに注意が必要です。
専属専任媒介契約のメリット・デメリット
専属専任媒介契約のメリット
専属専任媒介契約は3種類の中で最も制限が厳しい契約ですが、その分、不動産会社に最も手厚いサービスを受けられます。
- 5日以内にレインズへの登録が義務付けられ、最も早く物件情報が公開される
- 1週間に1回以上の活動報告を受けられる(最も頻繁)
- 不動産会社が最も力を入れて販売活動を行う
- きめ細やかなサポートが期待できる
専属専任媒介契約のデメリット
- 自己発見取引が認められていない(知人に売りたい場合でも不動産会社を通す必要がある)
- 1社に完全に依存するため、会社選びが非常に重要
- 契約期間中(最長3ヶ月)は他の不動産会社に依頼できない
自己発見取引ができないため、たとえば友人や知人から「買いたい」と申し出があった場合でも、不動産会社を介さなければならず、仲介手数料が発生します。
外国人が媒介契約を選ぶ際のポイント
外国人が日本で不動産を売買する際は、以下のポイントを考慮して媒介契約の種類を選びましょう。
日本語でのコミュニケーション能力
日本語が流暢でない場合は、専任媒介契約が最もおすすめです。窓口が1社に限定されるため、通訳の手配や多言語対応も1社分で済みます。複数社とのやり取りは言語面でのハードルが高くなります。
物件の種類とエリア
都心の人気エリアにある物件や、需要の高い物件であれば一般媒介契約でも問題ありません。一方、地方都市の物件や特殊な条件の物件は、専任または専属専任媒介で不動産会社に力を入れてもらう方が有利です。
在留期間と契約期間
在留資格の期間にも注意が必要です。専任媒介・専属専任媒介の契約期間は最長3ヶ月です。在留期間が限られている場合は、早期売却が期待できる専属専任媒介が選択肢となるでしょう。
契約書の言語について
全日本不動産協会によると、不動産契約書の正本は日本語とし、重要事項説明も日本語で行うことが基本です。翻訳版が用意される場合でも、日本語版が法的効力を持ちます。不動産契約と必要書類について事前に確認しておきましょう。
本人確認の義務
マネーロンダリング対策として、不動産取引においては本人確認が義務付けられています。外国人の場合、在留カードやパスポートの提示が求められます。永住権の有無によっても必要書類が異なる場合があります。
どの媒介契約がおすすめ?状況別アドバイス
最適な媒介契約は状況によって異なります。以下のガイドラインを参考にしてください。
| 状況 | おすすめの契約 | 理由 |
|---|---|---|
| 日本語が得意でない | 専任媒介 | 窓口が1社で言語対応が楽 |
| 人気エリアの物件 | 一般媒介 | 複数社の競争で高値売却を狙える |
| 地方・特殊物件 | 専属専任媒介 | 手厚い販売活動が必要 |
| 急いで売りたい | 専属専任媒介 | 最も早くレインズ登録され、報告も頻繁 |
| 知人への売却も検討 | 専任媒介 | 自己発見取引が可能 |
| 初めての不動産取引 | 専任媒介 | バランスが良く、報告義務あり |
外国人の方の多くにとっては、専任媒介契約が最もバランスの良い選択肢です。1社との窓口に集中でき、定期的な報告を受けられ、なおかつ自己発見取引の余地も残せます。
媒介契約を結ぶ際の注意点
契約期間の確認
専任媒介・専属専任媒介の契約期間は最長3ヶ月ですが、更新も可能です。不動産会社の対応に不満がある場合は、契約期間満了時に更新しないことも選択肢です。
仲介手数料の確認
仲介手数料は法定上限額を超えることはありませんが、不動産会社によって異なる場合があります。不動産にかかる税金とあわせて、トータルコストを把握しておきましょう。
囲い込みへの対策
専任媒介・専属専任媒介を選ぶ場合は、レインズへの登録確認書を受け取りましょう。また、定期的な活動報告の内容を確認し、問い合わせ件数や内覧件数が極端に少ない場合は囲い込みの可能性を疑いましょう。
解約条件の確認
媒介契約の解約条件についても事前に確認しておくことが大切です。専任媒介・専属専任媒介の場合、契約期間中に正当な理由なく解約すると、それまでにかかった広告費用等を請求される場合があります。
参考:REthink Tokyo - Types of Real Estate Listings in Japan
まとめ:自分に合った媒介契約を選ぼう
日本での不動産売買に欠かせない媒介契約は、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがあり、物件の種類や個人の状況に応じて最適な選択が変わります。
外国人の方が初めて日本で不動産取引を行う場合は、まず信頼できる不動産会社を選び、専任媒介契約から始めることをおすすめします。定期的な報告を受けながら、安心して取引を進めることができます。
不動産の購入手続き全体の流れを把握した上で、適切な媒介契約を選択し、理想の不動産取引を実現しましょう。日本の不動産市場は外国人にも開かれており、正しい知識と適切なパートナー選びによって、スムーズな取引が可能です。
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