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不動産にかかる税金ガイド

非居住者の不動産税務:源泉徴収と申告

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
非居住者の不動産税務:源泉徴収と申告

非居住者が日本の不動産を売却・賃貸する際の源泉徴収制度(売却10.21%・賃貸20.42%)、確定申告の方法、納税管理人の選任手続き、租税条約による二重課税防止策について詳しく解説します。外国人・海外在住者が知っておくべき不動産税務の完全ガイドです。

非居住者の不動産税務:源泉徴収と申告の完全ガイド

日本国内に不動産を所有する外国人や海外在住者にとって、税務手続きは最も複雑で重要な課題の一つです。特に「非居住者」に該当する場合、不動産の売却や賃貸に際して独自の源泉徴収制度が適用され、通常の居住者とは異なる申告義務が発生します。

本記事では、非居住者が日本の不動産を売却・賃貸する際に知っておくべき源泉徴収の仕組み、確定申告の方法、そして二重課税を防ぐためのポイントを詳しく解説します。これから不動産の購入や運用を検討している外国人の方は、不動産にかかる税金ガイドも合わせてお読みください。

非居住者の定義と判定基準

日本の税法上、「非居住者」とは、日本国内に住所を有さず、かつ日本国内に1年以上継続して居所を持たない個人を指します。具体的には以下のようなケースが該当します。

非居住者に該当する主なケース:

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  • 海外に転勤し、日本国内に住所がない外国人
  • 日本の不動産を所有しているが、現在は母国に帰国している方
  • 日本に短期滞在(1年未満)で不動産投資を行っている方
  • 留学や仕事で一時的に日本に滞在していたが、帰国後も不動産を保有している方

非居住者は日本国内で発生した所得(国内源泉所得)に対してのみ課税されます。不動産の譲渡所得や賃貸所得は国内源泉所得に該当するため、日本での確定申告が必要になります。

在留資格の種類と不動産購入の関係については、在留資格・ビザと不動産購入の記事で詳しく解説しています。

不動産売却時の源泉徴収制度

非居住者が日本国内の不動産を売却する場合、買主には譲渡対価の10.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%)を源泉徴収する義務があります。これは国税庁の規定に基づく制度です。

源泉徴収の具体例

例えば、非居住者が5,000万円で不動産を売却した場合:

  • 源泉徴収額:5,000万円 × 10.21% = 510万5,000円
  • 売主の手取り:5,000万円 − 510万5,000円 = 4,489万5,000円

売主は実際の売却代金の約89.79%しか受け取れないことになります。

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源泉徴収の例外規定

ただし、以下の条件をすべて満たす場合は、買主に源泉徴収義務が免除されます:

  1. 買主が個人であること
  2. 購入目的が自己または親族の居住用であること
  3. 譲渡対価が1億円以下であること

この例外は、一般的な住宅購入を想定した規定であり、不動産投資目的の購入には適用されません。

項目内容
源泉徴収税率10.21%(所得税10% + 復興特別所得税0.21%)
納付期限支払月の翌月10日まで
例外条件個人の自己居住用、かつ1億円以下
対象者非居住者・外国法人
徴収義務者買主(支払者)
申告書類支払調書の提出が必要

不動産賃貸時の源泉徴収制度

非居住者が日本国内の不動産を賃貸している場合も、源泉徴収の対象となります。この場合の税率は売却時よりも高く、賃借料の20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が源泉徴収されます。

賃貸収入の源泉徴収の例外

個人が自己または親族の居住用として賃借している場合は、源泉徴収が不要です。つまり、法人契約の社宅や事業用賃貸の場合は源泉徴収が必要ですが、個人が住居として借りている場合は免除されます。

売却と賃貸の源泉徴収率比較

取引種別源泉徴収税率復興特別所得税込み例外規定
不動産売却10%10.21%個人居住用・1億円以下で免除
不動産賃貸20%20.42%個人居住用の賃借で免除
不動産賃貸(法人)20%20.42%なし

賃貸経営と民泊ビジネスを検討している方は、この源泉徴収制度を理解した上で収支計画を立てることが重要です。

納税管理人の選任と役割

非居住者が日本で税務手続きを行うには、納税管理人を選任する必要があります。納税管理人とは、非居住者に代わって日本国内で税務に関する一切の事項を処理する代理人です。

納税管理人の主な業務

  • 確定申告書の提出
  • 税金の納付手続き
  • 税務署からの通知・連絡の受領
  • 還付金の受け取り
  • 税務調査への対応

納税管理人の選任方法

  1. 「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を税務署に提出
  2. 納税管理人は日本国内に住所を有する個人または法人であれば誰でも可能
  3. 税理士や不動産管理会社に依頼するケースが一般的

納税管理人の届出は、確定申告書の提出前に行う必要があります。届出がない場合、申告や還付手続きが進まないため、早めの準備が大切です。信頼できる不動産会社・仲介業者に相談することで、適切な納税管理人の紹介を受けることも可能です。

確定申告の手続きと必要書類

非居住者であっても、日本国内の不動産から所得が発生した場合は確定申告が必要です。申告期間は、所得が発生した年の翌年2月16日から3月15日までです。

売却時に必要な書類

  • 確定申告書B(第一表・第二表)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書の写し
  • 取得費を証明する書類(購入時の契約書など)
  • 仲介手数料の領収書
  • 登記事項証明書
  • 居住国の署名証明書(印鑑証明書の代替)

賃貸収入の申告に必要な書類

  • 確定申告書B
  • 不動産所得の収支内訳書
  • 賃貸契約書の写し
  • 経費の領収書(管理費、修繕費、保険料等)
  • 減価償却費の計算書

重要な注意点:非居住者はe-Tax(電子申告)を利用できません。納税管理人を通じて書面で申告する必要があります。不動産契約に関する詳しい書類については、不動産契約と必要書類を参照してください。

源泉徴収された税金の還付手続き

源泉徴収された金額が実際の税額を上回る場合、確定申告によって差額の還付を受けることができます。これは非居住者にとって非常に重要な手続きです。

還付が発生する主なケース

  • 取得費や譲渡費用を差し引くと利益が少ない場合:源泉徴収は売却代金の10.21%に対して行われますが、実際の課税対象は譲渡益(売却価格 − 取得費 − 譲渡費用)です
  • 長期譲渡所得に該当する場合:5年超保有の不動産は15.315%の税率が適用され、源泉徴収額との調整が必要
  • 赤字(損失)が出た場合:源泉徴収された全額が還付対象

還付の具体例

5,000万円で売却、取得費4,000万円、譲渡費用200万円の場合:

  • 譲渡益:5,000万円 − 4,000万円 − 200万円 = 800万円
  • 税額(長期):800万円 × 15.315% = 122万5,200円
  • 源泉徴収額:5,000万円 × 10.21% = 510万5,000円
  • 還付額:510万5,000円 − 122万5,200円 = 387万9,800円

このように、取得費が高い場合は数百万円規模の還付を受けられる可能性があります。不動産売却ガイドでも、売却時の資金計画について詳しく解説しています。

租税条約と二重課税の防止

非居住者が直面する最大のリスクの一つが、日本と居住国での二重課税です。日本で得た不動産所得に対して日本で課税され、さらに居住国でも課税される可能性があります。

租税条約の活用

日本は80か国以上と租税条約を締結しています。主な国との租税条約のポイント:

居住国不動産所得の取り扱い二重課税排除方法
アメリカ日本で課税、米国で外国税額控除外国税額控除方式
イギリス日本で課税、英国で外国税額控除外国税額控除方式
中国日本で課税、中国で外国税額控除外国税額控除方式
韓国日本で課税、韓国で外国税額控除外国税額控除方式
オーストラリア日本で課税、豪州で外国税額控除外国税額控除方式

多くの租税条約では、不動産所得については不動産の所在地国(日本)が第一の課税権を持ちます。居住国では外国税額控除制度を利用することで、二重課税を軽減または排除できます。

租税条約に基づく届出

租税条約による減免を受けるためには、「租税条約に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。日米租税条約の場合、一定の条件下で源泉徴収税の減免が認められるケースもあります。

非居住者の固定資産税・都市計画税

不動産を保有している限り、非居住者にも毎年固定資産税都市計画税が課されます。これらは市区町村が課税する地方税です。

  • 固定資産税:課税標準額 × 1.4%(標準税率)
  • 都市計画税:課税標準額 × 0.3%(制限税率)

非居住者の場合、納税通知書の送付先として納税管理人の住所が使用されます。納税管理人が選任されていない場合、通知書が届かず滞納となるリスクがあるため注意が必要です。

物件管理とメンテナンスの観点からも、固定資産税の支払い管理は重要な業務の一つです。

実務上の注意点とよくある失敗

よくある失敗パターン

  1. 納税管理人を選任せずに出国:帰国後に確定申告や還付手続きができなくなる
  2. 源泉徴収の過不足を放置:還付可能な金額を見逃す
  3. 居住国での申告を忘れる:二重課税の排除措置が受けられない
  4. 取得費の証明書類を紛失:取得費が不明の場合、売却価格の5%しか控除できない
  5. 期限後申告:加算税や延滞税が発生する

非居住者特有の書類の注意点

日本の税務手続きでは通常、印鑑証明書が必要ですが、非居住者は日本の住民登録がないため取得できません。代わりに、居住国の日本大使館・領事館でサイン証明書(署名証明書)を取得する必要があります。

また、e-Taxによる電子申告は非居住者には利用できないため、すべての手続きは書面で行う必要があります。

まとめ:非居住者の不動産税務チェックリスト

非居住者として日本の不動産を所有・取引する際は、以下のポイントを必ず確認しましょう:

  1. 非居住者の判定を正確に行い、該当する税務制度を確認する
  2. 納税管理人を早めに選任し、届出を提出する
  3. 不動産売却時は10.21%の源泉徴収が発生することを認識する
  4. 賃貸収入は20.42%の源泉徴収の対象となることを理解する
  5. 確定申告で還付を受けられる可能性を検討する
  6. 租税条約を活用し、二重課税を回避する
  7. 取得費の証明書類は必ず保管する
  8. 居住国での申告義務も忘れずに行う

不動産の取引や保有に関する税務は非常に複雑です。特に非居住者の場合は、日本と居住国の両方の税制を考慮する必要があるため、国際税務に詳しい税理士に相談することを強くおすすめします。資金計画と頭金の準備の段階から、税務コストも含めた総合的な計画を立てることが、賢い不動産投資への第一歩です。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本不動産購入情報を発信。

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