不動産購入時の印紙税と登録免許税

日本で不動産を購入する際に必要な印紙税と登録免許税について、税額一覧表・計算方法・軽減措置の条件を外国人の方向けにわかりやすく徹底解説。3,000万円・5,000万円の具体的な計算例や節約方法、ビザ・在留資格との関係まで網羅的に紹介します。
不動産購入時の印紙税と登録免許税|外国人が知っておくべき税額・軽減措置・計算方法
日本で不動産を購入する際、物件価格以外にもさまざまな税金がかかります。その中でも「印紙税」と「登録免許税」は、売買契約時と登記手続き時に必ず発生する重要な税金です。外国人の方にとっては馴染みのない制度かもしれませんが、事前に理解しておくことで予算計画が立てやすくなります。
この記事では、不動産購入手続きの流れの中で発生する印紙税と登録免許税について、税額の一覧表・計算方法・軽減措置の条件をわかりやすく解説します。外国人購入者が見落としがちなポイントや、不動産にかかる税金全般との関係についても触れていきます。
印紙税とは?不動産売買で必要になる場面
印紙税とは、契約書や領収書などの文書に対して課される国税です。不動産購入時には主に以下の場面で印紙税が必要となります。
- 不動産売買契約書:売主と買主の間で交わす売買契約書
- 金銭消費貸借契約書:住宅ローンを利用する際の借入契約書
- 建設工事請負契約書:新築住宅を建てる場合の請負契約書
印紙税は、契約書に収入印紙を貼付して消印することで納付します。収入印紙は郵便局やコンビニエンスストアで購入できます。契約書に印紙を貼らなかった場合、本来の印紙税額の3倍の過怠税が課されるため注意が必要です。
電子契約の場合、印紙税は課税されません。近年は電子契約を採用する不動産取引も増えており、印紙税を節約する方法として注目されています。
印紙税の税額一覧表|契約金額別の税率
不動産売買契約書に貼付する印紙税の金額は、契約金額によって異なります。現在は軽減措置が適用されており、本則税率よりも低い税額となっています。
| 契約金額 | 本則税率 | 軽減税率(2027年3月末まで) |
|---|---|---|
| 100万円超〜500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
| 5億円超〜10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
| 10億円超〜50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
軽減措置は令和9年(2027年)3月31日まで延長されています。たとえば、4,000万円のマンションを購入する場合、印紙税は軽減税率適用で10,000円(本則は20,000円)となります。住宅ローンを利用する場合は、金銭消費貸借契約書にも別途印紙税がかかる点を忘れないようにしましょう。
登録免許税とは?不動産登記で必ず発生する税金
登録免許税は、不動産登記の手続きの際に課される国税です。不動産を購入すると、法務局で所有権の登記を行う必要があり、その際にこの税金を納付します。
登録免許税が発生する主な登記の種類は以下の通りです。
- 所有権保存登記:新築住宅を取得した際に最初に行う登記
- 所有権移転登記:中古物件の売買などで所有者が変わる際の登記
- 抵当権設定登記:住宅ローンを利用する際に金融機関が設定する登記
登録免許税の納付は、登記申請時に司法書士を通じて行うのが一般的です。司法書士に支払う報酬とは別に、登録免許税は実費として必要になります。
登録免許税の税率と軽減措置|2027年まで適用される特例
登録免許税の税率と軽減措置は、登記の種類によって異なります。以下の表で確認しましょう。
| 登記の種類 | 本則税率 | 軽減税率 | 軽減適用期限 |
|---|---|---|---|
| 所有権保存登記(新築住宅) | 0.4% | 0.15% | 2027年3月31日 |
| 所有権移転登記(土地) | 2.0% | 1.5% | 2026年3月31日 |
| 所有権移転登記(中古住宅) | 2.0% | 0.3% | 2027年3月31日 |
| 抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% | 2027年3月31日 |
令和6年度の税制改正により、住宅用家屋に関する軽減措置の適用期限が令和9年(2027年)3月31日まで3年間延長されました。ただし、土地の所有権移転登記の軽減税率1.5%の適用期限は2026年3月31日までとなっている点に注意してください。
軽減措置を受けるための要件
住宅用家屋の登録免許税の軽減措置を受けるための条件は以下の通りです。
- 個人が自己の居住用として取得した住宅であること
- 床面積が50㎡以上であること
- 新築または取得後1年以内に登記すること
- 中古住宅の場合、一定の耐震基準を満たすこと(昭和57年以降建築など)
- 市区町村が発行する「住宅用家屋証明書」を取得すること
外国人の方は、在留資格・ビザの種類によって軽減措置の適用可否が異なる場合があります。観光ビザ(短期滞在)の方は居住用として認められないため、軽減税率が適用されない可能性が高いです。永住権を持つ方や就労ビザの方であれば、日本人と同じ条件で軽減措置を受けることができます。
登録免許税の計算方法|具体例でわかりやすく解説
登録免許税の計算方法は「課税標準額 × 税率」です。課税標準額は登記の種類によって異なります。
- 所有権保存登記・所有権移転登記:固定資産税評価額が課税標準
- 抵当権設定登記:住宅ローンの借入額が課税標準
具体的な計算例
例1:3,000万円の中古マンションを購入する場合
固定資産税評価額が建物1,200万円・土地800万円と仮定します。
| 登記の種類 | 課税標準額 | 税率(軽減後) | 税額 |
|---|---|---|---|
| 所有権移転登記(建物) | 1,200万円 | 0.3% | 36,000円 |
| 所有権移転登記(土地) | 800万円 | 1.5% | 120,000円 |
| 抵当権設定登記(借入2,400万円) | 2,400万円 | 0.1% | 24,000円 |
| 合計 | 180,000円 |
軽減措置が適用されない場合、同じ条件で合計は56万円(建物24万円+土地16万円+抵当権9.6万円)となります。軽減措置により約38万円もの節税効果が得られる計算です。
例2:5,000万円の新築一戸建てを購入する場合
固定資産税評価額が建物1,800万円・土地1,500万円、住宅ローン借入額4,000万円と仮定します。
| 登記の種類 | 課税標準額 | 税率(軽減後) | 税額 |
|---|---|---|---|
| 所有権保存登記(建物) | 1,800万円 | 0.15% | 27,000円 |
| 所有権移転登記(土地) | 1,500万円 | 1.5% | 225,000円 |
| 抵当権設定登記(借入4,000万円) | 4,000万円 | 0.1% | 40,000円 |
| 合計 | 292,000円 |
このように、物件の種類や価格帯によって登録免許税の金額は大きく変わります。不動産会社の担当者や司法書士に事前に見積もりを依頼しておくと安心です。
外国人が注意すべきポイント|ビザ・在留資格との関係
外国人が日本で不動産を購入する場合、印紙税と登録免許税について以下の点に特に注意が必要です。
居住用か投資用かで税額が大きく変わる
軽減措置は「個人が自己の居住用として取得した住宅」が対象です。不動産投資として物件を購入する場合や、観光ビザで購入する場合は、軽減措置が適用されず本則税率が適用されます。この差は数十万円にもなりえるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
住宅用家屋証明書の取得
軽減措置を受けるためには、市区町村役場で「住宅用家屋証明書」を取得する必要があります。この手続きには住民票が必要となるため、外国人の方は事前に住民登録を済ませておく必要があります。在留カードの住所変更手続きも忘れずに行いましょう。
海外在住者の場合
海外に居住している方が日本の不動産を購入する場合、居住用の軽減措置は基本的に適用されません。委任状を用いた代理人による購入の場合も同様です。ただし、購入後に日本に転居して居住する場合は、後から軽減措置の適用を受けられるケースもあります。
諸費用全体の目安
印紙税と登録免許税は、不動産購入時の諸費用の一部です。外国人購入者は物件価格の12〜18%程度の追加コストを見込む必要があるとされています。内訳としては、仲介手数料、登録免許税、印紙税、不動産取得税、司法書士報酬、住宅ローン関連費用などが含まれます。
印紙税・登録免許税の節約方法
税金の負担を少しでも軽くするために、以下の方法を検討してみましょう。
電子契約の活用
電子契約を利用すれば印紙税は非課税になります。最近では大手不動産会社を中心に電子契約に対応するケースが増えています。不動産会社選びの際に電子契約対応かどうかを確認するとよいでしょう。
軽減措置の確実な適用
要件を満たしているにもかかわらず軽減措置が適用されないケースがあります。特に「住宅用家屋証明書」の取得を忘れると軽減税率が適用されません。売買契約から登記までの期限(取得後1年以内)にも注意が必要です。
固定資産税評価額の確認
登録免許税の課税標準となる固定資産税評価額は、実際の売買価格よりも低いことが一般的です。物件価格と固定資産税評価額の乖離が大きいほど、登録免許税の負担は相対的に軽くなります。物件を選ぶ際にこの点も意識してみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 印紙税と登録免許税はいつ支払いますか?
印紙税は売買契約書を交わす時点で、登録免許税は決済・引渡し日に司法書士を通じて支払います。
Q. 外国人でも軽減措置は受けられますか?
はい、国籍に関係なく要件を満たせば軽減措置を受けられます。ただし、居住用であることが条件のため、在留資格や実際の居住実態が重要なポイントとなります。
Q. 印紙税を貼り忘れたらどうなりますか?
契約自体は有効ですが、本来の印紙税額の3倍の過怠税が課されます。自主的に申告した場合は1.1倍に軽減されます。
Q. 登録免許税は誰が負担しますか?
法律上の納税義務者は登記権利者と登記義務者の双方ですが、実務上は不動産の買主が負担するのが慣行です。手付金と同様に、事前に資金を準備しておきましょう。
Q. 固定資産税評価額はどこで確認できますか?
固定資産税評価額は市区町村役場の窓口で「固定資産評価証明書」を取得して確認できます。また、毎年届く固定資産税の納税通知書にも記載されています。
まとめ|印紙税と登録免許税を正しく理解して賢く不動産購入を
印紙税と登録免許税は、不動産購入時に必ず発生する税金ですが、軽減措置を活用することで負担を大幅に抑えることができます。
押さえておくべきポイント:
- 印紙税は契約金額に応じた税額表で確認(軽減措置は2027年3月末まで)
- 登録免許税は「固定資産税評価額×税率」で計算
- 居住用住宅は軽減税率が適用される(要件あり)
- 外国人でも在留資格があれば軽減措置を受けられる
- 電子契約の活用で印紙税を節約可能
不動産購入の全体的な流れや費用については不動産購入手続きと流れを、税金全般については不動産にかかる税金ガイドをあわせてご参照ください。不動産登記の手続きと必要書類も確認しておくことをおすすめします。
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