購入後に必要な届出と手続き一覧

外国人が日本で不動産を購入した後に必要な届出と手続きを時系列順に解説。所有権移転登記、不動産取得税、外為法届出、納税管理人の選任など、期限付きの重要手続きを一覧でまとめました。2024年の法改正にも対応。
購入後に必要な届出と手続き一覧|外国人の日本不動産取得後ガイド
日本で不動産を購入した外国人の方、おめでとうございます。しかし、物件の引き渡しが完了しても、やるべきことはまだ残っています。不動産の購入後には、登記手続き・税金の申告・届出書類の提出など、期限付きの重要な手続きが複数あります。これらを怠ると、罰則や不利益を被る可能性があるため、しっかりと把握しておくことが大切です。
この記事では、外国人が日本で不動産を購入した後に必要な届出と手続きを、時系列順にわかりやすく一覧でまとめました。不動産購入手続きと流れの次のステップとして、ぜひ参考にしてください。
所有権移転登記の手続き
不動産購入後、最も重要な手続きが所有権移転登記です。これは、購入した不動産の所有権を売主から買主へ正式に移転する手続きであり、法務局に申請します。
通常、この手続きは不動産会社・仲介業者が紹介する司法書士が代行します。決済日(引き渡し日)に売買代金の支払いと同時に、司法書士が法務局へ登記申請を行うのが一般的な流れです。
2024年4月からの改正ポイント
2024年4月1日から、外国人の不動産登記に関する制度が改正されました。主な変更点は以下のとおりです。
- 氏名のローマ字併記が必須化:外国人所有者の氏名は、日本語表記に加えてローマ字での併記が義務付けられました
- 国内連絡先の登記義務化:国内に住所を有しない外国人が所有者となる場合、国内の連絡先(個人または法人)の情報が登記事項として追加されます
- 連絡先の証明書類:連絡先が法人の場合は会社法人等番号の提供、個人の場合は印鑑証明書の提出が必要です
これらの変更は、外国人の不動産所有の透明性を高めるための措置であり、登記申請時に必ず対応が求められます。詳しくは不動産契約と必要書類も合わせてご確認ください。
参考:外国人渉外登記改正の概要
登録免許税の納付
所有権移転登記の際に登録免許税を納付する必要があります。この税金は登記申請時に納付するもので、司法書士が代行してくれるのが一般的です。
| 登記の種類 | 通常税率 | 軽減税率 | 軽減期限 |
|---|---|---|---|
| 土地の所有権移転 | 2.0% | 1.5% | 2026年3月31日まで |
| 建物の所有権移転 | 2.0% | 0.3% | 一定条件を満たす場合 |
| 新築建物の保存登記 | 0.4% | 0.15% | 一定条件を満たす場合 |
| 抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% | 一定条件を満たす場合 |
たとえば、3,000万円の土地を購入した場合、軽減税率適用で登録免許税は45万円(3,000万円 × 1.5%)となります。不動産にかかる税金ガイドでさらに詳しく解説しています。
参考:Japan Property Tax Guide for Foreign Owners
不動産取得税の申告と納付
不動産を取得すると、都道府県から不動産取得税が課税されます。取得日から原則30日以内に、不動産が所在する都税事務所・県税事務所に申告する必要があります。ただし、30日以内に登記を済ませた場合は、原則として申告不要です。
不動産取得税の税率と軽減措置
| 取得する不動産 | 標準税率 | 軽減後の税率 |
|---|---|---|
| 土地 | 4% | 3%(2027年3月31日まで) |
| 住宅用建物 | 4% | 3%(2027年3月31日まで) |
| 非住宅用建物 | 4% | 軽減なし |
さらに、一定の条件を満たす住宅を取得した場合は、課税標準から最大1,200万円が控除される特例があります。新築住宅や、築年数が一定以内の中古住宅が対象です。
注意点: 不動産取得税の納税通知書は、登記後おおむね3〜6ヶ月後に届きます。海外在住の方は、届出先の住所に届かない可能性があるため、納税管理人の選任を忘れずに行いましょう。
外為法に基づく届出(非居住者の場合)
海外に在住する外国人(非居住者)が日本の不動産を取得した場合、外国為替及び外国貿易法(外為法) に基づき、取得日から20日以内に財務大臣(日本銀行経由)への報告が義務付けられています。
届出が必要なケース
- 非居住者が日本国内の不動産を購入した場合
- 海外送金で不動産取得資金を支払った場合
届出が不要なケース(例外規定)
- 他の非居住者から不動産を取得した場合
- 非居住者本人、またはその親族・使用人・従業員が居住する目的で取得した場合
届出を怠った場合、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。在留資格・ビザと不動産購入の情報も確認しておくと安心です。
納税管理人の選任と届出
日本国内に住所を持たない外国人が不動産を所有する場合、納税管理人の選任と届出が必須です。納税管理人は、固定資産税の納税通知書の受取り、確定申告の手続き、その他税務関連の対応を代行します。
届出の手順
- 納税管理人を決める:日本国内に住所のある個人(友人・知人・専門家など)または法人を選びます
- 届出書を作成する:「納税管理人届出書」を記入します
- 税務署に提出する:不動産が所在する地域を管轄する税務署に提出します
- 市区町村にも届出:固定資産税は市区町村が課税するため、市区町村役場にも届出が必要な場合があります
納税管理人を選任しないまま帰国してしまうと、税金の通知書が届かず、延滞税が発生するリスクがあります。永住権と住宅購入の記事では、在留資格ごとの対応についても説明しています。
参考:Property Ownership in Japan: Tax Representative and Domestic Contact
固定資産税・都市計画税の準備
不動産を所有すると、毎年固定資産税と都市計画税が課税されます。これは購入後に一度届出するものではなく、毎年自動的に課税されますが、購入初年度は特に注意が必要です。
税率と計算方法
| 税金の種類 | 税率 | 課税基準日 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 1.4%(標準) | 毎年1月1日 |
| 都市計画税 | 最大0.3% | 毎年1月1日 |
購入初年度の注意点:
- 固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されます
- 年度途中で購入した場合、売買契約時に売主との間で日割り精算を行うのが慣例です
- 翌年からは新所有者に全額課税されます
住宅用地には軽減措置があり、200㎡以下の部分は固定資産税が1/6に、都市計画税が1/3に軽減されます。資金計画と頭金の準備で年間の維持費用も確認しましょう。
参考:Japan Property Tax for Foreigners
印紙税の確認
不動産売買契約書には印紙税が課されます。契約書に収入印紙を貼付し、消印することで納付します。通常、この手続きは契約締結時に完了しますが、購入後に追加の契約書(ローン契約書など)を作成する場合にも印紙税がかかります。
| 契約金額 | 印紙税額(軽減後) |
|---|---|
| 500万円超〜1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 10,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 30,000円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 60,000円 |
外国人向け住宅ローン完全ガイドも合わせて確認することで、ローン関連の手続きも漏れなく把握できます。
住所変更届・転入届の提出
購入した物件に引っ越す場合、以下の届出が必要です。
- 転入届:新しい住所地の市区町村役場に、引っ越し後14日以内に届出
- 転出届:旧住所地の市区町村役場に事前に届出
- 在留カードの住所変更:出入国在留管理局で在留カードの裏面に新住所を記載してもらう(転入届提出時に市区町村窓口で対応可能)
引っ越しに伴う手続きの詳細は引っ越しと入居準備の記事で詳しく解説しています。
各種保険の加入手続き
不動産購入後には、適切な保険への加入も重要な手続きの一つです。
- 火災保険:住宅ローンを利用する場合は加入が必須条件です。ローンなしでも加入を強くお勧めします
- 地震保険:火災保険とセットで加入可能。日本は地震大国であるため、加入を検討すべきです
- 家財保険:建物だけでなく、家具や家電などの家財を守るための保険です
保険の選び方や注意点は住宅保険と保証制度で詳しく解説しています。
手続きスケジュールまとめ
購入後の手続きを時系列でまとめると以下のようになります。
| タイミング | 手続き内容 | 届出先 |
|---|---|---|
| 決済日当日 | 所有権移転登記・登録免許税納付 | 法務局(司法書士が代行) |
| 取得後20日以内 | 外為法に基づく届出(非居住者のみ) | 日本銀行(財務大臣宛) |
| 取得後30日以内 | 不動産取得税の申告 | 都税事務所・県税事務所 |
| 引っ越し後14日以内 | 転入届・在留カード住所変更 | 市区町村役場 |
| 購入後速やかに | 納税管理人の届出(非居住者のみ) | 税務署・市区町村役場 |
| 購入後速やかに | 火災保険・地震保険の加入 | 保険会社 |
| 取得後3〜6ヶ月後 | 不動産取得税の納付 | 都税事務所・県税事務所 |
| 翌年1月1日以降 | 固定資産税・都市計画税の納付開始 | 市区町村 |
まとめ:手続きの漏れを防ぐために
外国人が日本で不動産を購入した後には、多くの届出と手続きが必要です。特に以下のポイントを意識してください。
- 期限のある手続きを最優先で対応する(外為法届出20日以内、不動産取得税申告30日以内など)
- 非居住者の方は納税管理人と国内連絡先の選任を早めに行う
- 司法書士・税理士などの専門家に依頼することで、手続きの漏れや遅延を防げる
- 2024年の法改正による新しい要件(ローマ字併記・国内連絡先登記など)に対応する
これらの手続きを確実に行うことで、安心して日本での不動産所有を楽しむことができます。物件管理とメンテナンスについても理解を深め、長期的な資産価値の維持にも取り組みましょう。
不動産購入の全体像を把握したい方は、外国人が日本で不動産を購入する完全ガイドもぜひご覧ください。
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