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日本の不動産法規制と外国人の権利

外国人の不動産共同名義と持分

ブイ レ クアンブイ レ クアン公開日:2026年3月2日
外国人の不動産共同名義と持分

外国人が日本で不動産を共有名義・共同所有する際の持分割合の決め方、2024年法改正後の登記要件(ローマ字氏名・国内連絡先の登記義務化)、住宅ローン控除のメリットと売却・相続リスクを専門家監修でわかりやすく解説。

外国人の不動産共同名義と持分:知っておくべき基礎知識と注意点

日本で不動産を購入する外国人が増えています。なかでも、夫婦やパートナー、友人・知人などと共同で不動産を購入する「共有名義」は非常に一般的な選択肢です。しかし、共有名義には特有のルールやリスクが存在し、とくに外国人の場合は2024年の法改正による新たな登記要件も加わっています。

本記事では、日本の不動産共有名義・共有持分の仕組みから、持分割合の決め方、税金上の注意点、外国人特有の登記要件、そして将来的な売却・相続時のリスクまでを徹底解説します。外国人が日本で不動産を購入する完全ガイドも合わせてご参照ください。

共有名義・共有持分とは何か

共有名義(きょうゆうめいぎ)とは、一つの不動産を複数の人が共同で所有している状態のことです。それぞれの所有者が持つ権利の割合を「共有持分(きょうゆうもちぶん)」と呼び、法務局の登記簿に明記されます。

たとえば、5,000万円のマンションを夫(外国人)が3,000万円、妻(日本人)が2,000万円を負担して購入した場合、持分割合は夫60%・妻40%となります。

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日本の共有持分の特徴

日本の共有持分制度には、英米法(コモンロー)の「ジョイント・テナンシー(joint tenancy)」と異なる重要な点があります。

比較項目日本の共有(Tenancy in Common相当)英米のジョイント・テナンシー
死亡時の持分相続人に引き継がれる自動的に他の共有者に移転
持分の独立性各人が独立した持分を持つ不可分・連帯所有
持分の売却自己持分のみなら単独で可能全員同意が必要
登記への記載持分割合が登記される一般的に等分とみなされる

この違いは特に相続計画において重要です。不動産登記制度と外国人の名義登録と合わせて理解しておきましょう。

詳しくはHokushin Fudosanの外国人共有名義FAQもご覧ください。

持分割合の決め方と計算方法

共有持分の割合は、購入時の実際の資金拠出額に基づいて設定することが原則です。登記上の持分割合と実際の負担割合が一致しない場合、差額分が贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。

持分割合の計算例

物件価格:6,000万円(諸費用含む)

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費用項目夫(外国人)妻(日本人)
頭金1,200万円800万円
住宅ローン負担額2,400万円1,600万円
合計負担額3,600万円2,400万円
持分割合60%40%

持分割合 = 各自の負担合計 ÷ 物件購入価格(諸費用含む)

住宅ローンの組み方と持分割合

共有名義での住宅ローンには主に以下の3パターンがあります。

  • ペアローン:夫婦がそれぞれ別々にローンを組む。各自の借入額が持分の基準となる
  • 連帯債務型:1本のローンを夫婦で連帯して返済する
  • 連帯保証型:主債務者のローンに配偶者が連帯保証人として加わる

なお、外国人向け住宅ローン完全ガイドでは、外国人が利用できる金融機関や審査条件についても詳しく解説しています。

共有名義のメリットと税制優遇

共有名義にすることで得られる最大のメリットの一つが、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を双方が利用できる点です。

住宅ローン控除のポイント

  • 控除額:年末時点のローン残高の0.7%
  • 控除期間:原則13年間(新築・省エネ基準適合物件の場合)
  • 条件:各人が居住し、かつ各自の名義でローンを組んでいること

たとえばペアローンの場合、夫・妻それぞれのローン残高に対して0.7%の控除が受けられるため、節税効果が2倍になります。

その他のメリット

  • 購入できる物件価格の上限が上がる(2人分の収入を合算して審査できる)
  • 相続対策として活用できる場合がある
  • 売却益の3,000万円特別控除を各人が利用できる(居住用財産の場合)

不動産購入手続きと流れも参考にしてください。

外国人に特有の登記要件(2024年改正)

2024年4月1日の不動産登記法改正により、外国人が日本の不動産を取得する際の登記要件が大幅に変わりました。

新たに必要となった手続き

1. 氏名のローマ字併記(必須) 外国人の氏名は漢字・カタカナに加え、ローマ字(大文字)での併記が義務化されました。

2. 国内連絡先の登記(海外在住者) 海外在住の外国人が不動産の所有権登記名義人となる場合、日本国内の連絡先を登記事項として登録する必要があります。連絡先として必要な情報:

  • 個人の場合:氏名と国内住所
  • 法人の場合:名称・国内住所または事務所所在地・会社法人等番号

詳細は法務省の公式ページおよびs-legalestate.comの解説記事をご確認ください。

3. 住所証明書類の取り扱い変更 宣誓供述書(affidavit)は、自国の公証人だけでなく、居住国の公証人による認証でも受理されるようになりました。

2026年度から予定される国籍申告義務化

The Japan Timesの報道によると、2026年度以降、外国人が不動産登記の名義人となる際に国籍の申告が義務化される予定です。これは購入を妨げるものではありませんが、将来的な情報公開や管理強化につながる制度変更です。

外国人による日本不動産購入の最新ルールと今後の規制についても最新情報をチェックしておきましょう。

在留資格・ビザと不動産購入の関係も参照してください。

共有名義のデメリットとリスク

共有名義には多くのメリットがある一方で、特有のリスクも存在します。特に外国人の場合、将来の帰国・離婚・在留資格変更などを見据えた慎重な判断が必要です。

主なリスクと対処法

1. 売却には全員の同意が必要 共有名義の不動産を売却するには、全共有者の合意が必要です。一人でも反対すれば売却できません。夫婦関係や共有者との関係が変化した場合に問題となりやすい点です。

2. 離婚・関係解消時の紛争リスク 離婚などで関係が悪化した場合、持分の分配や売却方法で争いが生じることがあります。事前に共有物分割協議書取り決め書を作成しておくことを検討してください。

3. 相続による共有者の増加 共有者の一人が亡くなると、その持分は相続人(複数いる場合はさらに分割)に引き継がれます。共有者が意図せず増加し、管理が複雑になることがあります。

4. 持分のみの売却は困難 自分の持分のみを第三者に売却することは法律上可能ですが、実際の市場では持分だけの物件は低評価になりやすく、売却が難しいのが現状です。

5. 帰国・長期不在時の管理問題 外国人共有者が帰国・長期不在となった場合、登記上の国内連絡先の管理や税務申告(固定資産税など)が煩雑になります。

共有物の管理については物件管理とメンテナンスも参考にしてください。

共有名義の解消方法

共有名義を解消したい場合、以下の方法が一般的です。

解消方法概要向いているケース
持分売却(共有者間)一方が他方から持分を買い取る片方が継続所有を希望する場合
持分売却(第三者へ)自分の持分を外部に売却共有者間で合意できない場合
共有物分割請求裁判所に分割を申し立てる協議が不調に終わった場合
物件全体の売却全員合意の上で第三者に売却最もスムーズな方法

とくに帰国を検討している外国人にとっては、売却時のタイムラインを事前に共有者と話し合っておくことが重要です。不動産売却の流れと手順もご確認ください。

専門家への相談を忘れずに

共有名義の不動産取得は、税務・法務・登記の各側面で複雑な判断が求められます。外国人の場合はさらに在留資格・国籍に関する要素が加わるため、以下の専門家への相談をおすすめします。

  • 司法書士:登記手続きの代行・書類準備のサポート
  • 税理士:持分割合に関する贈与税リスクの検討・住宅ローン控除の確定申告
  • 不動産会社(外国人対応):物件探しから契約まで一貫サポート

外国人対応の不動産会社ランキングで、英語・多言語対応の不動産会社を探すこともできます。

まとめ

日本での不動産共有名義は外国人にも広く開かれた選択肢ですが、登記要件・税務リスク・将来の売却・相続など多くの側面を理解した上で判断することが大切です。

  • 持分割合は実際の資金拠出割合と一致させる
  • 2024年改正によりローマ字氏名の登記・国内連絡先の登記が必要
  • 共有名義には住宅ローン控除の2人利用などのメリットがある
  • 一方で、売却・相続・関係解消時のリスク対策を事前に検討する
  • 2026年度から国籍申告が義務化される予定

共有名義での不動産購入を検討している方は、外国人が日本で不動産を購入する完全ガイドで全体の流れを把握した上で、専門家と一緒に最適な方法を選んでください。

ブイ レ クアン
ブイ レ クアン

ベトナム出身、来日16年以上。名古屋大学卒業後、日本企業・外資系企業で11年の実務経験。外国人の日本不動産購入情報を発信。

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