不動産売却の流れと手順

外国人が日本で不動産を売却する際の流れと手順を7つのステップで解説。相場調査から確定申告まで、仲介手数料・譲渡所得税・源泉徴収など費用面も詳しく紹介。非居住者特有の必要書類や納税管理人の選任方法もわかりやすく説明します。
不動産売却の流れと手順|外国人オーナーが知るべき7つのステップ
日本で不動産を所有する外国人にとって、売却は購入以上に複雑なプロセスとなることがあります。言語の壁、法的手続き、税金の計算など、多くの要素を理解する必要があるからです。本記事では、外国人が日本の不動産を売却する際の流れと手順を、7つのステップに分けてわかりやすく解説します。
不動産売却は一般的に準備から引き渡しまで約5〜6ヶ月かかると言われています。しっかりと手順を把握しておくことで、スムーズかつ有利な条件での売却が可能になります。不動産売却の全体像については、不動産売却ガイドもあわせてご参照ください。
不動産売却の全体像と7つのステップ
不動産売却は以下の7つのステップで進行します。各ステップを順番に理解していきましょう。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ステップ1 | 売却準備・相場調査 | 1〜2週間 |
| ステップ2 | 不動産会社への査定依頼 | 1〜2週間 |
| ステップ3 | 媒介契約の締結 | 1週間 |
| ステップ4 | 売却活動・内覧対応 | 1〜3ヶ月 |
| ステップ5 | 売買契約の締結 | 1〜2週間 |
| ステップ6 | 決済・引き渡し | 1〜2ヶ月 |
| ステップ7 | 確定申告 | 翌年2〜3月 |
全体の流れを把握したうえで、各ステップの詳細を見ていきます。物件購入の際の手続きについては不動産購入手続きと流れでも解説しています。
ステップ1:売却準備と相場調査
不動産売却の第一歩は、相場の把握と売却目的の明確化です。
相場調査の方法
まず、自分の物件がどのくらいの価格で売れるかを把握することが重要です。以下の方法で相場を調べることができます。
- 不動産ポータルサイト:SUUMO、HOME'S、アットホームなどで類似物件の価格を調べる
- レインズマーケットインフォメーション:過去の成約価格を確認できる国土交通省のシステム
- 土地総合情報システム:国土交通省が提供する不動産取引価格情報
必要書類の準備
売却に必要な書類は事前に準備しておきましょう。外国人の場合、通常の書類に加えて特別な書類が必要となります。
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 固定資産税納税通知書
- 建物図面・測量図
- 購入時の売買契約書
- サイン証明書(署名証明書):外国人は印鑑証明の代わりに必要
- パスポートのコピー
必要書類の詳細については、不動産契約と必要書類をご確認ください。
ステップ2:不動産会社への査定依頼
相場の目安がわかったら、不動産会社・仲介業者に正式な査定を依頼します。
査定の種類
査定には2種類あります。
| 査定の種類 | 特徴 | 所要時間 | 精度 |
|---|---|---|---|
| 簡易査定(机上査定) | データのみで概算を算出 | 即日〜数日 | やや低い |
| 訪問査定 | 実際に物件を確認して査定 | 1〜2週間 | 高い |
外国人オーナーの場合、特に以下の点に注意して不動産会社を選びましょう。
- 多言語対応が可能かどうか
- 外国人の不動産売却実績があるか
- 非居住者向けの手続きに詳しいか
複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額や対応の質を比較することをおすすめします。査定額だけでなく、売却戦略やサポート体制も確認しましょう。詳しくはPLAZA HOMESでも外国人向けの売却プロセスが解説されています。
ステップ3:媒介契約の締結
信頼できる不動産会社が見つかったら、媒介契約を締結します。媒介契約には3種類あり、それぞれ特徴が異なります。
| 契約タイプ | 複数社への依頼 | 自己発見取引 | レインズ登録 | 報告義務 |
|---|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | ○ 可能 | ○ 可能 | 任意 | なし |
| 専任媒介契約 | × 不可 | ○ 可能 | 7日以内 | 2週間に1回 |
| 専属専任媒介契約 | × 不可 | × 不可 | 5日以内 | 1週間に1回 |
外国人オーナーが海外に在住している場合は、専任媒介契約または専属専任媒介契約がおすすめです。不動産会社に売却活動を一任でき、定期的な報告が義務付けられているため、遠隔からでも状況を把握しやすくなります。
ステップ4:売却活動と内覧対応
媒介契約を締結すると、不動産会社による売却活動が始まります。
売却活動の内容
- 不動産ポータルサイトへの掲載
- レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録
- チラシ・広告による宣伝
- 購入希望者の紹介・内覧のアレンジ
海外在住の場合の内覧対応
海外に在住している場合、内覧対応は不動産会社に委任することが可能です。ただし、以下の点を事前に準備しておきましょう。
- 不動産会社に物件の鍵を預ける
- 内覧前のハウスクリーニング手配
- 必要に応じてホームステージングの実施
- 不動産会社との連絡手段の確保(メール・LINE・Zoomなど)
物件の管理については物件管理とメンテナンスもご参照ください。
ステップ5:売買契約の締結
購入希望者が見つかり、条件が合意に至ったら、売買契約を締結します。
売買契約の流れ
- 購入申込書(買付証明書)の受領:購入希望者から価格や条件を記載した書面を受け取る
- 条件交渉:価格や引き渡し時期などを交渉
- 重要事項説明:宅地建物取引士が物件の重要事項を説明
- 契約書への署名:外国人は印鑑の代わりにサインで対応可能
- 手付金の受領:通常、売買価格の5〜10%
外国人特有の注意点
非居住者の場合、以下の特別な対応が必要です。
- 委任状(Power of Attorney)の作成:海外から契約に参加できない場合、代理人を指定
- サイン証明書の取得:在外公館(大使館・領事館)で取得可能
- 納税管理人の届出:日本国内で税務手続きを行う代理人の指定が必須
詳しい手続きについては外国人の不動産売却手続きも参考になります。
ステップ6:決済・引き渡しと費用の詳細
売買契約から通常1〜2ヶ月後に、決済と物件の引き渡しが行われます。
決済日に行うこと
- 残代金の受領
- 所有権移転登記の申請
- 物件の鍵の引き渡し
- 固定資産税の精算
- 各種書類の受け渡し
不動産売却にかかる費用一覧
売却にはさまざまな費用がかかります。事前に把握しておきましょう。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税 | 800万円超の物件の場合 |
| 印紙税 | 1万〜6万円 | 売買価格により異なる |
| 登録免許税 | 抵当権抹消1件につき1,000円 | 住宅ローン残債がある場合 |
| 司法書士費用 | 2万〜5万円 | 登記手続きの代行費用 |
| ハウスクリーニング | 3万〜10万円 | 物件の状態による |
| 測量費用 | 30万〜80万円 | 土地売却の場合 |
2024年7月の改正により、800万円以下の物件については仲介手数料の上限が33万円(税込)に引き上げられました。詳しくは不動産売却の仲介手数料をご確認ください。
資金計画の立て方については資金計画と頭金の準備も参考にしてください。
ステップ7:税金の計算と確定申告
不動産売却後は、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
譲渡所得税の計算
不動産売却で利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
| 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|
| 5年以下(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 5年超(長期譲渡所得) | 15.315% | 5% | 20.315% |
※復興特別所得税(2.1%)を含む
外国人・非居住者の特別ルール
非居住者が日本の不動産を売却する場合、特に注意すべき点があります。
- 源泉徴収:買主は売買代金の10.21%を源泉徴収して税務署に納付する義務がある(詳細はこちら)
- 住民税の免除:日本に居住していない場合、住民税は課税されない
- 納税管理人:確定申告のために日本国内の納税管理人を選任する必要がある
- 還付申告:源泉徴収額が実際の税額を超えている場合、確定申告で還付を受けられる
税金に関するより詳しい情報は不動産にかかる税金ガイドをご参照ください。
不動産売却を成功させるためのポイント
最後に、外国人オーナーが不動産売却を成功させるためのポイントをまとめます。
売却時期の選び方
日本の不動産市場には季節性があります。一般的に以下の時期が売却に有利とされています。
- 1〜3月:新年度前の引っ越しシーズンで需要が高い
- 9〜11月:転勤シーズンで需要が増加
- 不動産市場全体のトレンドについては不動産市場トレンドと将来予測で詳しく解説しています
信頼できるチームの構築
海外在住で売却を進める場合、以下の専門家チームを構築することが重要です。
- 不動産仲介会社:売却活動の全般をサポート
- 司法書士:登記手続きの専門家
- 税理士:確定申告と税金計算のサポート
- 納税管理人:税務書類の受け取りと手続きの代行
よくある失敗と対策
- 相場より高すぎる価格設定:売却期間が長引き、結局値下げすることに
- 必要書類の準備不足:特にサイン証明書は取得に時間がかかるため早めに準備
- 税金の見積もり不足:源泉徴収や譲渡所得税を考慮せず手取り額を過大に見積もる
- 不動産会社選びの失敗:外国人対応の実績がない会社を選んでしまう
まとめ
外国人が日本で不動産を売却する流れは、相場調査から確定申告まで7つのステップに分かれます。特に非居住者の場合は、源泉徴収(売買代金の10.21%)や納税管理人の選任など、特有の手続きが必要となります。
売却の準備から引き渡しまでの期間は約5〜6ヶ月が目安です。信頼できる不動産会社と専門家チームを早い段階で構築し、必要書類を事前に準備しておくことが、スムーズな売却の鍵となります。
不動産の購入から売却までの全体的な流れについては、外国人が日本で不動産を購入する完全ガイドもあわせてご参照ください。日本での不動産投資全般については不動産投資入門をご覧ください。
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